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日中関係をどう打開するか

セミナー・レクチャー

2013/7/11
グローバル・スタディーズ研究科   森山 拓也


開催日:2013年7月11日(木)
場所: 今出川校地(烏丸キャンパス) 志高館 SK110
講師: 呉 寄南 氏〔上海国際問題研究院学術委員会副主任〕
司会: 加藤千洋 教授〔グローバル・スタディーズ研究科〕

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1.講演内容

 改革開放以降の経済成長の中で中国に残された課題や、日中関係の打開策について講演が行われた。現在、改革開放政策は進化期にあり、中国は既得権益の改革に挑戦している。これは改革開放の本丸であるが、非常に難しい課題である。また、現代は従来型の経済成長パターンの転換期でもある。中国では成長のために建築資材や化石燃料、鉱物資源が大量に消費され、資源量の限界が心配される。深刻な環境汚染も生じており、中国は世界最大の二酸化炭素排出国でもある。他にも中国は、都市と農村の経済格差、農村から都市へ移り住んだ農民工の人権問題、政治腐敗、少数民族問題といった数々の課題に直面している。大国として国際社会へのより大きな貢献も求められる。

 習近平政権では、規制緩和や国際協調路線による米国との関係強化といった成果が表れてきている。さらなる成長の柱として、急速な都市化に対応した住宅や水道、さらに高速道路や高速鉄道といったインフラ整備、私営資本の発展、人材の育成が望まれる。

 日中関係に関しては、尖閣諸島領有権をめぐる緊張が両国関係に悪影響を及ぼしている。他方で日中の経済交流は深まっており、関係が簡単に途切れることはない。また米国をはじめとする国際社会も、日中関係の緊張を許す状況ではない。日中は離れることの許されない、夫婦以上の関係であると言える。より安定した日中関係構築の課題として、危機管理システムの構築、識者や民間人の交流促進、経済交流のさらなる深化、マスコミが相手国を正しく報道することなどが挙げられた。


2.得られた成果

 急速な経済成長を遂げる中国では、環境汚染や貧富の格差といった社会問題も深刻化している。現代社会の諸課題は、一国だけでは解決が難しい。中国が抱える問題は日本の経験とも共通しており、日中が互いの経験や技術を活かして協力できることは少なくない。経済成長後の時代の新しい社会モデルを、日本が率先して示す努力も重要である。

 日中は尖閣諸島の領有権をめぐる争いなどに関して突発的な危機を回避するシステムを構築すると同時に、官民の交流を絶やさず、相互理解を深める努力が必要である。特にマスコミの報道は相手国のイメージ形成に直結するため、相手の脅威を煽るような一面的な報道ではなく、一般市民の生活や文化も含めた多面的な視点が求められる。さらに留学や経済・文化交流などを通じて一般市民どうしが交流や相互理解を深めることが、両国関係の基盤強化にとって重要である。

講演案内