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パレスチナ支援を行うNGOでのインターンシップ

インターンシップ

2016/1/30
グローバル・スタディーズ研究科   小寺 愛惟


実施期間:2015年10月15日~2016年1月14日
派遣先:日本国際ボランティアセンター(JVC) パレスチナ事業 エルサレム事務所
 
3か月間エルサレムでインターンを経験させて頂いた。3度目の滞在となるイスラエルに関してはいくらか知識を持っていたが、合わせ鏡であるパレスチナに関しては現場の知識はなく、この不釣合いな知識がパレスチナ/イスラエル関係への視点を歪めているのではないかという懸念からインターンを決めた。もうひとつの動機は、国際NGOが占領構造に対してどのような役割を果たすことができるのかを問うきっかけにすることだった。

1月目はまずパレスチナでの生活と仕事の方法を学んだ。現地代表に同行し、銀行、大使館、現地NGOなどを訪問する間に、必ずカルダモン入りのコーヒーでもてなされ、別れ際には丁寧に挨拶するパレスチナ式の社交を体験した。また医療・教育分野の事業地見学として、東エルサレムの小中学校の安全教育の授業を視察したり、救命救急のボランティア・チームの若者に話を聞いたり、エルサレム近郊の隔離壁の影響を受けている地区で活動する移動診療所に同行した。2・3か月目はアドボカシー強化と新規事業案件作成のため、パレスチナ支援を行うイスラエル人が運営するNGOを訪ね、聞き取り調査を行った。該当するNGOをリスト化し優先して聞き取りに行きたい団体を選定して質問票を作成した後は、アポを取り、一件ずつインタビューを取り、レポートにする作業を繰り返した。このレポートは現在、案件形成のみならず、一般向けの情報発信のための素材としても活用されている。

このインターンで学んだことは、海外事務所ではどの業種でも、運営、資金面での管理業務が欠かせず事業遂行とのデュアルタスクが求められるということである。個人の裁量が広くならざるをえないので、自律的に仕事をすることを好むタイプの人には向いていると感じた。業務内容については、ドナーと現地の実施NGOを橋渡しする役どころなので、例えばドナーである日本人が理解しやすい成果の提示の仕方をパレスチナ人のNGOの担当者と一緒に考える、といった「文化の翻訳」こそが、苦労する面でもあり醍醐味でもあるとも思った。またNGOという業種に関しては、外から見聞きできるのはファンドレイジングのための広報なので、“正義感、真っ直ぐ、折れない、成果に溢れた”という熱いばかりの印象を持っていたが、それは一面でしかなく、日常業務ではむしろ笑うしかない些細な事柄にひとつひとつ対応するような根気の要る作業も多いことを実感した。それを支えるのは個人の信念と愛であり、多くの場合NGOで働くということは仕事以上のライフワークに取り組むということなのだと、上司の姿を見て考えさせられた。

この目まぐるしいまでの経験から教訓となったのは、ひとつの目的に対してアプローチは多様に存在する、というシンプルなことだった。ライフスタイルと仕事は切り離せない以上、そしてライフスタイルは段階を経て変化していくものである以上、時間と空間のバランスを取って納得できるキャリア選択を無理なく重ねていきたいと考えるようになった。