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再生可能エネルギー ‐ 高効率・安定的利用のための技術

フィールドワーク

2015/8/30
理工学研究科   土居 謙太


1.概要
広島大学大学院リーディングプログラム機構 たおやかで平和な共生社会創生プログラム主催のもと、米国テキサス大学オースチン校、九州大学、同志社大学の4大学間合同合宿を行った。各大学の学生を交えたグループを編成し、「離島における再生可能エネルギーの安定利用」という題材についてグループワークを進めた。合宿地である島根県隠岐諸島は本土から沖合約50kmに位置しており、諸島内の電力系統は本土の系統に接続されていない。そのため、諸島内の電力需要は島内で賄う必要がある。現状では、本土からの輸送が必要な重油を用いたディーゼル発電に依存した状態である。重油輸送には付加的なコストがかかることから、極力ディーゼル発電に依存しないエネルギー供給 (再生可能エネルギーの効率的利用) が望まれている。

2.中国電力隠岐ハイブリッドプロジェクト
最小電力需要10 MW程の隠岐諸島には、現在 (2015年8月) 約3 MWの再生可能エネルギー発電設備が存在する。これに加え、新たに8 MWの風力および太陽光発電設備の導入が計画されている。風力や太陽光エネルギーをはじめとする再生可能エネルギーは、自然条件によって発電量が大きく変動する。安定的に電力を供給するためには、電力需要量と供給量が同じになるよう調整を行う必要がある。一般的に、再生可能エネルギーにより過剰電力が発生した場合、過剰分を蓄電池に保存することで電力のバランスを調整する方策が用いられる。一方、電力需要が高くなった場合や太陽光がない夜間には、蓄電池内の保存電力が利用される。再生可能エネルギーの変動には雲の動きや風向き、風速に依存する「はやく小さな変動」と日射量の時間変化などに依存する「おそく大きな変動」がある。隠岐諸島では特性の異なる2種類の蓄電池を協調制御するシステムが導入されている (中国電力隠岐ハイブリッドプロジェクト)。各蓄電池の特性を活かし、「はやく小さな変動」の吸収にはリチウムイオン電池を使用、「おそく大きな変動」には大容量なNAS電池を使用することで電力の安定化が図られる。隠岐ハイブリッドプロジェクトには、再生可能エネルギーの導入を図る上での技術実証試験の目的もあり、電力系統が独立している隠岐諸島ならではの取り組みである。

3.実習内容
本実習は、諸島内施設見学のための事前学習(講義受講)と風力発電装置建設場所やハイブリッド蓄電池システムの見学、グループワークという流れで進められた。これらを通して、再生可能エネルギー導入率を高める際に必要な電力系統の工学的構造を学習した。
グループワークは各大学からの学生で構成される4人1組で進められた。報告者の所属するグループに与えられた課題は「リモートセンシング(遠隔監視)技術を利用した再生可能エネルギーの知的メンテナンス法」である。ここで、知的メンテナンスとは、遠隔地に設置される風力発電機および太陽光パネルの稼動状況や不具合を現地へ出向かずに通信網を使用するなどして監視することを指す。これにより、常時監視も可能となるため、落雷や突風などの突発的災害に対応するのみでなく、小さな不具合の把握から設備の寿命把握・向上も図ることができる。報告者グループは、隠岐諸島における落雷や突風などといった災害の可能性を過去のデータから調査するとともに、想定される各災害に対応可能なセンサーなどの技術的課題を議論した。
これらを通して、再生可能エネルギー導入に関する技術的な知識のみでなく、限られた時間内におけるグループ作業計画の構成と実行に関する経験を得た。また,あらゆる国からの学生が参加した合宿であり、文化交流の機会も多かった。これまで出会ったことのなかった国の出身者と互いの文化について意見交換を行うなど、GRMを通して国際人を志すうえでかけがえのない機会となった。