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GRMプログラム成果報告書

研究活動・その他

2019/3/30
グローバル・スタディーズ研究科   Rehab Abu-hajiar


 現在の地球規模の問題と課題に対する解決策の探求にあたり、GRMの理念は有用であると考え、GRMプログラムを履修しようと決心した。現代、難民の危機、コミュニティにおける多様性と共存への脅威、社会的公正の欠如、環境の悪化、自然災害、そしてインフラストラクチャーの不足という様々な問題がある。GRMは、取り残されたコミュニティ、紛争や戦争に苦しんでいる地域、減少するインフラストラクチャーの基本的ニーズを欠く人々に手を差し伸べ、彼らを助けることに重点を置いている。通常の安定した尊厳のある生活を送る権利は当然そのコミュニティにもあるで、世界レベルでの格差と不平等の増大を考慮する上で非常に重要に且つ必然です。GRMプログラムを履修すると、私は新たに獲得したGRMベースの知識、地球規模の問題についての議論、そして差し迫った課題に取り組むためのアイデアを検討し、より深く理解し、意識するようになった。私の将来のキャリアにおいてGRMの学習と経験が、多くの成果を生み出す事を希望する。 
 私の出身はかつて軍が占領していた、パレスチナのガザ地区だ。そこは厳しい軍事包囲、安全とは言えない飲料水、電力不足、不十分な医療サービス、不安定な政治、戦争と破壊の絶え間ない猛威といった様々な問題を抱えており、日常生活において深刻な影響をもたらしている。この私の生い立ちを背景として、講義や討論から学び、オンサイト実習、共同プロジェクト、そして代替策について思案することを目的としたGRMプログラムの履修を熱望した。このような事由から2015年のGRMプログラムの履修開始時は、例外なく全ての科目を精力的に受講した。私は破壊的な戦争の影響による人道危機と言ったプログラムで議論された地球規模の問題と、自然と人類によるインフラの枯渇など、プログラムで議論された世界的な問題を関連づけた。その代表的な例はシリアとイエメンの戦争の悲劇だ。また、世界は、ロヒンギャ難民の危機、フィリピンの自然災害、イスラム恐怖症、外国人恐怖症、EUにおけるナショナリズムの高まり、難民危機と米国を越えた人口の急増などの問題に直面している。
 GRMプログラムを履修した最初の学期に、アメリカの外交政策とアメリカ憲法関係を学ぶ科目に参加した。それは非常に充実した内容であった。アメリカの政治における意思決定がどのように行われるかを学んで非常に驚き、またアメリカでの戦争に関する決断について深く考えた。
2003年にイラク戦争への決断は、中東を変えた歴史的な転換点である。GRMの授業の中で、アメリカの権力構造において戦争の決定がどのようにして生み出されるのかを振り返り考える事は非常に重要だった。
 同時期に、コモン演習を履修した。持続可能社会のための包括的なイノベーションのチームとして、仲間の学生と一緒にグループワークに励んだ。そのコースは有益で感動的だった。私はチームメンバーとして持続可能な開発の概念と関連した国連ミレニアム開発、目標を達成するための概念を支持する国連プログラムについて議論した。議論の結果は、同志社大学で開催された国際会議で「国連と持続可能な開発のための包括的イノベーション」というタイトルの論文として発表された。私達のチームは持続可能な開発を支援するという点において、NGOと市民社会において重要な役割を務めた。この科目では、主に開発プロジェクトの意思決定にすべての利害関係者を巻き込むことを強調することによって、開発の概念に新しい側面を与えた。開発はコミュニティのすべてのメンバーが責任を持つ必要があり、殆どの発展途上国は、地元の人々の意見や懸念を考慮しない権威主義的なトップダウンの意思決定に苦しんでいる。このような問題は緊急の解決が必要である。
 GRMプログラム期間中、私はトルコとヨルダンで、健康分野における生物医学倫理の適用を研究し評価するためのフィールドワークコースを実施した。このコースで私は医療専門家、学者、職員との幾度かの面談を取り付ける事に成功し、トルコの病院に勤務している医師との面会が実現した。この訪問はとても実りあるものだったと言える。また、トルコでは大学や教育センターを訪問し、ヨルダンでは大学、関係省庁、および追跡調査と人間を含む実験の関連施設を訪問した。私は大学の教授、保健省の医師、そしてヨルダン国民医療倫理委員会のメンバーにインタビューをした。これらの経験は、有益で非常に実りのある機会であり、私の研究への情報収集に繋がった。
 GRM科目の国際会議の組織と実践は、個人の経験としてまた研究の面でも有意義だった。会議コーディネートのために、グループワークで会議の運営のための手順を学んだ。この中で、私はカタールのハマドビンカリファ大学(HBKU)のMohammed Ghaly教授を招待した。Ghaly教授は、カタールのドーハにあるHBKUのイスラム法倫理研究センターに在籍している。イスラムの観点から、生命倫理学の分野で最も重要な教授だと考えて参加を依頼した。この会議で私は自分の研究に大きな価値や、新しいアプローチを発見し、視野が広がった。世界的に有名な生物医学倫理の専門家であるGhaly教授を同志社大学に招待した事は、私の研究の中ではユニークな経験であり、研究の主題に関するさらなる議論に発展した。会議の開催中に、私は「イスラムにおける人権、イスラム医学倫理および患者の権利」というタイトルの論文を発表した。
 さらに、私は惑星環境科学と水資源を専門とする2つのGRM科目を履修した。これらの科目は、現代の地球規模の問題と環境への影響と私たちの惑星を脅かす問題を主題とした。GRMは、文系を専門とする学生に対して、インフラストラクチャー全般と地球温暖化、地震、洪水、そして世界中の地域での干ばつ等の社会的安定性との関連について学び理解を深める機会が沢山ある。私が履修したのは、「GRMインフラストラクチャー基礎実験」と「オンサイト実習Ⅰ」だ。理系の基礎科目として、簡単な電気の輪をデザインし、電気を作るために必要な知識を学んだ。この科目は、構成要素、電力の資源に関する重要な情報や知識について学習する。私の出身地では人口全体が毎日4時間しか電力を手に入れられない。この知識・経験のおかげで携帯電話やノートパソコンの充電といった小規模な電力を補い、緊急時には携帯電話を充電すれば、大きな効果を期待できるので、命を救う可能性もある。また、充電された携帯電話は、市民防衛や病院の救急車へのコンタクトを容易にするので、緊急時に重要な情報を入手する機会となりうる。
 オンサイト実習の「水と貧弱なインフラの危機」というテーマは、GRMプログラムのもう一つの重要な科目だ。この科目では私に京都や琵琶湖の水源に関する多くの知識と情報を学んだ。京都という歴史的な街に住み、私はこの問題から大きな恩恵を受けた。特に同期や同志社大学の学生のために、京都の水の源と問題に関する公開情報についてアンケートを作成した。歴史的見地と現在の状況から水管理について学ぶことは非常に貴重な経験となった。水と水の有効活用は、発達、安定、そして子供たちの幸福にとって極めて重要な分野である。例えばガザでは、飲料水のほぼ90%は安全であると言えないし、その不安からガザの人々は怒り、動揺している現状がある。
 また、私は2016年1月14日から15日の間に、第1回フィリピン真空協会の国際シンポジウムに参加し、このシンポジウムでは、真空技術、プラズマ科学、および関連分野の開発と進歩への新しいアプローチとなった。このテーマは私の研究との関係性は決して強くないが、私たちを取り巻く高度なグローバルテクノロジーと強く関係しているので、少なくとも知識を深める必要があると言える。
 GRMプログラムに参加したことで、紛争、人道的活動、多様性、共存、水、電力経済の不平等、自然災害といった世界的な問題について学ぶことができた。
このプログラムは私の思考の転機となり、研究への関心も高まった。少しばかり前述したが、地球規模の問題についての私の批判的思考を活かし、グループワークの中で代替解決策を求めた。またグループワークを通して、私はチームワークが奇跡を生むことを確信するようになった。
このプログラムによって、世界の主要な問題をフォローアップし、それらを専門家と議論する能力への自信を強めたのは明白だ。多くの研究分野の教授や学生との会議やセッションを通して培われた経験は、習慣的に対話や議論の場に身を置くことで私の自信となった。