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文系学生でも電気工事・・・はできる!

雨宮 昭弘 教授
〔モントリオール理工科大学教授/同志社大学客員教授〕
 
 パソコンやテレビが調子悪くなったら、今時、体罰は宜しくないのですが、一発ビンタをお見舞いすればいい。経時変化(加齢とも言える)、又は環境変化(温度差など)による内部回路/部品の接触不良、即ちパソコン君やテレビさんの体調が少しおかしくなっただけであれば、ビンタ一発で目が覚めてまともになる。しかし、骨折したとか年齢のせいで4 km/2時間になった場合には、劣化部品の取り替えが必要ですが、これは理工系の学生にとってもただ事ではない、と言うかほぼ不可能と言わざるを得ない。複雑、巨大化(サイズではない)した現在の賢い(コンピュータ制御)電気・電子製品の補修は電気系学生にもほぼ不可能で新製品に買い換える方が、場合によっては安いこともある。ところで、スマホやケイタイのメモリチップの入れ替えは、文系・理系に関わりなく、驚くべきことに小学生にはできても大の大人にはできないことが多い!!

 水道管や電気配線の張り替えに流体力学(水の流れを物理的に説明する学問)や電気磁気学・電気回路学(電子の挙動や、電気の流れを物理的、工学的に説明する学問)が必要か?答えはNO!水道管や電線(電気の流れを水に置き換えれば水道管と同じ)がどう配置されているか、最大1秒間にどの程度の水量(=電流)を流すかの知識さえ与えられれば、水道工事、電気工事は誰にでも(但し、土を掘り起こす、又は電柱に登る体力要)できる。即ち、水道工事や電気工事をやるのに理工系大学/大学院の単位修得の必要はない。従って、標題の如く「文系学生でも電気工事・・・はできる!」ことになる。

 GRMの文系学生用「インフラ基礎実験」のコンセプトは上述の通りです。低開発・発展途上国では現代社会で人が生きて行く上で必要不可欠となっている道路、水道、電気等の基本的インフラ(ライフラインと呼ぶ)が極めて不十分です。特に紛争国では、イラクやシリア、コソボ等からのニュースで明らかなように基本的インフラが破壊されてしまっています。このような国々で、同志社大学大学院のGRMプログラムの理念を現実のものとするためには、インフラに対する基本的理解と最低限のインフラ工事の経験を積んでおくべきかと考えます。電圧、電流の計測、電線の接続、風力発電設備の組立、雨や雪に関係なく実施せざるを得ない屋外での実験、携帯用発電機の運転、実験のための穴掘り等の経験は、言葉が多少しか話せないとしても、例えば穴掘り機具の動かし方を実地で見せることにより、現地の人々との絆を深めることが可能です。Body languageと言うことになりましょうか。言うなれば、同じ釜の飯を食べることから友好関係を築くことができます。2014年度のインフラ基礎実験では小型重機ユンボの運転・使い方も実験科目に入れる計画を立てています。

 インフラ基礎実験の具体的内容は山吹先生の説明に委ねます。

(GRM Newsletter Vol.1より転載)

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