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Global Leadership Forum
2017/05/24
Global Leadership Forum
グローバル・リーダーシップ・フォーラムは、世界で活躍する第一線の識者に講演をしていただく企画です。
演題:
「The Future of National, Regional and Global (Dis)order: Exclusive Populism versus Inclusive Global Governance」
講師:トルコ前首相 アフメト・ダウトオール氏
日時:2017年5月24日(水) 14:00~16:00
場所:今出川キャンパス クラーク・チャペル
今回は、昨年までトルコ首相を務め、政治学、国際関係学の教授としてのキャリアも持つアフメト・ダウトオール氏をお招きし、現代社会が直面する深刻な危機と、未来へのビジョン、リーダーシップのあり方をお話いただきました。
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「I am at home」
トルコ前首相、アフメト・ダウトオール氏が同志社大学を訪問され、このように表現されました。政治家としてのキャリアよりも長く政治学と国際関係の教授でしたので、大学の雰囲気が懐かしく、学生たちとの話す機会を楽しまれたことでしょう。
5月24日、本学大学院プログラム「グローバル・リソース・マネジメント(GRM)」の履修生を中心とした約20名の学生に対し、講義を行ってくださいました。テーマは“The Methodology of Strategic Thinking: The Case of the Middle East”として、紛争解決のためにいかに外交が重要であるか、特に“人道主義の外交“を強調されました。
「世界情勢は絶えず変化し、新しい政治指導者が現れています。我々はお互いを尊重し、受け入れることに重点をおいた新たな外交の在り方を模索していかなくてはなりません。ただし、世界共通の基準あるいは価値観がなければ平和構築は難しい。変化は常に新しいアイディアとともにやってくるのです。」
講義の後、独裁国家や権威主義体制が変化への道を塞いでいますが、希望はあるのでしょうか?と聞いた学生に対し、氏は自分を楽観的な人間であると前置きし、現在トルコには隣国シリアから紛争を逃れて300万人もの難民が生活している状況を例に挙げ、もし希望に満ちあふれている状況なら変化を生むアイディアは出てこないだろうと話しました。
「2011年以降、トルコ内のシリア難民の救済費用は200億ドルを越えています。しかし、たとえシリア人がトルコ国内の病院に駆け込んできても、追い返すことはできないのです。それは、長年のトルコとイスラム文化の関係なのです。トルコの人々は助けを求めている人に対して背を向けることは決してしません。」
同日午後には、学内外およそ100名の聴講者を前にスピーチをしていただきました。世界が今、直面している行き詰まりや危機について、大戦や冷戦が終了した後の新しいルールが支配する現代についてまずお話しされました。「17世紀のウェストファリア条約はヨーロッパの三十年戦争を終わらせました。第一次世界大戦の終結後には、国際連盟が設立され、第二次世界大戦後には、国際連合が設立されました。しかし、1989年の冷戦終結の際には、紛争を解決するための原則、価値観など判断の基準として機能する組織や枠組み(協議、国際機構)がありませんでした。現代の政治は、対立政党の意見や市民の苦情を聞き入れることのない非常に自己保身的なのです。」
スピーチの後、聴衆からの国際的な課題や紛争について質問に答えてくださいました。氏は学生の質問に率直に気さくに答えてくださいました。氏のリーダーシップスタイルを教えてくださいと聞いた学生に対し、“心に平和を持っておくこと“、それがリーダーにとって最も重要な資質だと答えました。
氏は大変フレンドリーで打ち解けやすく、また鋭い知力をお持ちで、そのことが政治家として、教育者としてすばらしいキャリアを築いています。氏の提唱する国際的な課題への新しい視点というものは、我々が共通の価値観や包括性をもって取り組めば有効に働くかもしれません。
(同志社大学 高等研究教育機構 イヤス・サリム)
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