GRM Students’ Reports
GRM履修生活動レポート
GRMプログラム成果報告書
グローバル・スタディーズ研究科 陳 艶
2019/03/30
私がGRMプログラムを通して得た知識は、エネルギー、自然災害、そして平和構築という3つのカテゴリーに要約することができる。 本報告書では、各カテゴリーの活動と成果を簡潔にレビューし、博士論文およびキャリア形成への影響を考察する。
GRMは、電力・原子力・水力や太陽光などの再生可能エネルギーを網羅する幅広いエネルギーに関するカリキュラムを提供している。 エネルギー生産と利用に関する膨大な情報は
理工学研究科の教授によって用意され、私は沖縄県宮古島市での実地実習(2014年)や島根県沖島での実地調査(2015年)など、遠隔地での再生可能エネルギーに特化した活動に参加した。
授業や活動を通じて得た知識は、エネルギーの働きやエネルギー政策の意思決定過程についての見識の取得に役立った。この経験から、2017年の三菱総合研究所(MRI)インターンシップの参加時には環境エネルギー部門に刺激を受け、参加する運びとなった。そこでは、既存の知識を用いて正しいレールを敷くという困難に立ち向かった。
また、2017年のメコン川流域での水力発電開発を検討するという私たちの学生プロジェクトは貴重な経験となった。(他のメンバーは、理工学研究科のChayadit Pumaneratkulとグローバル・スタディーズ研究科のMostafa Khalili)このプロジェクトは、私たちがGRMプログラムを通して学んだことを実際の研究プロジェクトに活かすという試みであった。私たちのプロジェクトスーパーバイザー、林田教授の助けを借り、我々は下流のメコン川流域におけるXayaburiダムの建設の環境的、社会的および越境的な影響に関する調査を提案した。このプロジェクトの目的は、ダム建設の影響を2つの側面から評価することだった。社会科学の側面、地域住民の生活への影響、そのほとんどがメコン川からの収穫量に大きく依存している。自然科学の観点からは、魚の種類や量などの生物多様性への影響、水位や堆積物の量などの関連指標がある。 GRMプログラムの予算を使いタイとラオスでの10日間の現地調査が行われたが、ダムサイトを訪問する許可を得ることができず、分析に必要なデータにアクセスすることもできなかったため目標は部分的にしか達成されなかった。しかしながら、このプロジェクトで私はプロジェクト管理と問題解決のスキルの向上を習得することができた。このエネルギー関連のプロジェクトに従事したのはわずかな期間だったが、経済だけでなく政治を理解する重要性を学び、有意義な経験の1つとなった。
GRMプログラムを通じ多くのことを学んだトピックとして、自然災害及び災害からの復旧や復興を挙げることができる。私が参加した災害関連の活動は、フィリピンでのオンサイト実習(2015年)、仙台での国連防災世界会議(2015年)、そして2011年の東日本大震災での津波によって甚大な被害を受けた宮城県本吉郡南三陸町への個人訪問だ。政府、企業、研究者による災害後の復旧促進に多大な尽力が注がれたが、その影響は不明のままである。私が一番印象に残ったのは、国連世界会議に出席した直後の仙台市の沿岸地域への訪問だった。 4年前、猛烈な津波が町を襲い、倒壊し廃屋となった家々が未だ残っていた。 そのような状況のなかで、仙台市が国連世界会議を主催する資格を問うために、市民によって看板が掲げられた。それ以来、私は自然災害に対処するための適切で効果的な対処法について関心を寄せるようになった。
平和構築・紛争緩和及び多文化共生はGRMカリキュラムの主要テーマのひとつであり、私がこのプログラムで習得した知識の大部分を占めている。
特にイスラム社会には注視されており、同志社大学の内外で世界中の学者との有意義な会議や対話が何度も行われてきたため、イスラム文化への理解を深めることができた。また、シリアから他のヨーロッパ諸国へ移動する難民のバルカンルートをたどるために、2回のヨーロッパへの渡航があった。ドイツ、オーストリア、そしてセルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、そしてスロベニアを含むバルカン諸国へ訪問した。 2015年からの難民危機の間、背景と前述の国の状況を学ぶための旅は、鮮明な経験・教義となった。彼らは言語、信念、歴史の違いに光を当てることによって平和と共存に対する障壁を理解する包括的な展望、そして自分達と異なる文化の人々への関心を私たちに教えた。
3つのカテゴリーの各活動のトピックの大部分は相互に関連している。例えば、自然災害からの復興について議論するとき、エネルギー供給は必須の知識である。この種の訓練によって、様々な観点から物事を進めることができた。今では、人道主義的な孤独を念頭に置きながら、実用性と有効性をより重視するようになった。
私がGRMプログラムを通して学んだ知識と技能を用いて、自分自身の研究において自然科学関連の問題の調査ができた。例えば、中国農村での私のケーススタディの1つでは、貧困緩和プロジェクトが予算の大部分を使って貧しい人々のために太陽光発電パネルを建設し、売電を通じて安定した収入を得ることを目標とした。設置の初期費用、グリッドへの接続費用、ソーラーパネルの容量、電気料金、政府からの補助金を検討した結果、ソーラーパネルがエネルギー需要を満たすことができる可能性があることが明らかになったが、貧しい家庭の人々にとっての収入源になることは難しい事が分かった。私がGRMプログラムを通して学んだ太陽光発電の知識は、この分析を実現した。
私がGRMプログラムを履修する理由の1つは、社会問題を解決するために自然科学と社会科学の知識を組み合わせるという考えが魅力的であると考えるからだ。
異なる分野の知識を組み合わせること決して簡単ではないが、プログラムは私たちが包括的な考え方を構築するのに非常に役立った。
GRMプログラムは博士課程後の私のキャリア構築にも大いに貢献した。 政府、国際機関、研究所、企業の方々と話す機会がたくさんあり、私は彼らの仕事についてよりよく理解することができた。 さらに、私の就職活動において教職員の皆様には常に尽力いただいた。 彼らの助けを借りて、私はなんとかMRIのインターンシップを受けることができた。その経験のおかげで時間管理スキルと作業効率を改善したので、計画通り私の論文を書き終えることができた。
GRMプログラムでの経験は私の博士課程を充実させただけではなく、私の人生においての視野を大きく広げた。私はGRMプログラムを通して得たスキル、そして私がGRMネットワークの中で培った友情からは常に恩恵を受けている。